作業することは滅多にない国立公園内の現場でしたので、こちらも文章を添えてまとめておきます。一連のまとめシリーズの最終章になります。

2021年5月中旬に、上高地のとある山荘の敷地内で木の伐採、大枝降ろしと整姿剪定をする機会をいただきました。作業には2チームが入っていて、私たちは樹上作業が必要なものを担当しました。

現場は河童橋のすぐ近所。休憩時間には梓川の清流と残雪の穂高連峰を仰ぎ見ることができました。贅沢なロケーションの現場です

ダケカンバとサクラの伐採
ダケカンバは幹の一部に大きな傷が入っており、倒木や幹折れのリスクを考慮して伐採。サクラはまだ大きくないのですが、今後、建物に大きく掛かって支障木となってしまいそうなため今回の手入れでいったん伐採することになりました。下に水道管が通っていて、地上からは倒せないのでツリーワークでの伐採です。

ダケカンバの幹を地上で刻んで取り回しできるサイズで片付けます。この木も太いのですが、上高地では他に大きい木が何本もあるため、細く感じてしまいます。

イチイ数本の剪定
車に当たってしまう下枝を払って、全体の樹形を整えていきます。

イチイの大枝の付け根の部位です。年輪をざっと数えたところ約90~100年ほど経っています。大きな木ではないのですが、本体の樹齢はいったい何年なのでしょうか。

ここからは今回のメインイベント、ハルニレの巨木の大枝降ろし、整姿剪定のようすです。数日かかって、建物に覆いかぶさりそうな大枝や折れた大枝を払って樹形を整えてきました。

作業前の全景

作業後の全景

一番下の、最も太くて最も長い、建物方向に大きく傾いた大枝を降ろすようす1

一番下の、最も太くて最も長い、建物方向に大きく傾いた大枝を降ろすようす2

一番下の、最も太くて最も長い、建物方向に大きく傾いた大枝を降ろすようす3

同上、付け根部分の最終仕上げカット。地上約10メートルでの作業です。

上記の大枝の付け根部分。直径35~40センチくらい。年輪の数はやはり100本くらい。寒冷な場所で育った木なので成長が遅く、年輪がぎっしり詰まっていました。本体の樹齢は150年?200年?

今回の一連の作業の企画検討の段階では、建物へのマイナス影響を考えて、このハルニレを伐採する案も出ていたようです。昨秋(2020年秋)に私たちにお声がけをいただいた際、建物への影響を大きく軽減させて本体そのものを残すことは可能、と考えて今回の作業内容をご提案させていただきました。一連の作業を無事に終えて、上高地の樹木たちの長い長い年月の重みを感じながら帰路につきました。